(Vol.5) 蛇祭り行進
By A.Miyaji
草野心平の処女詩集「第百階級」の中の詩です。岩波文庫、草野心平詩集(入沢康夫編)に収録されています。第百階級とは最下層の階級である蛙を意味しており、昭和3年、心平の新婚時代、困窮生活の中で発表されました。心平自身の「あとがき」が素晴らしいので一部を引用します。
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そしてゲリゲというかえるは蛇に食われて死んでいくとき人間の言葉に翻訳したら恐らく次のような言葉を仲間に送った。
お友達や仲間の諸君、僕が殺されるのを悲しんで逃げろと言って下すったのをどうもありがとう。ぼくを殺すのは誰でもない僕の意地です。
悲しくはない。悲しいことはなぜ殺し合いがあるかということです。それも仕方ないでしょう。僕たちだっていろんなものを食べます。自然の暴威は当たり前です。
悲しいのはそれではない。なぜおんなじ兄弟たちなかまたちが殺し合うのだということです。霊長の人間も人間同士で殺し合うではありませんか。
諸君 ぼくたちは幸福です。ぼくたちは誰彼の差別なく助け合い歌いあいます。これ以上のことがあるでしょうか。それを思うと僕はうれしい。僕は死んでゆきます。悲しくはありません。
さようなら。万歳して下さい。
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昭和29年、戦後の混乱から抜け出して日本の合唱文化が芽生え始めた頃、気鋭の作曲家清瀬保二が当時まだ珍しかった男声合唱曲として作曲しました。
(委嘱初演:東京男声合唱団 指揮 石丸 寛)